
俊光と菜子のホントの関係
第2章 『俺と菜子』
――高校三年生。
あー、もうこんな時間か。
夕方五時。図書室で勉強をしてたら、あっという間に時間が経っちまった。
希望の大学、偏差値が高いから、ついついがんばり過ぎてしまう。
でも、智樹も一緒のとこだから、二人で受かりたいし。受験まで九ヶ月もあるけど、今から身につけることも大事だし。そう思うと、がんばらずにはいられないんだよな。
一人でそんなことを考えながら玄関から出ると、空がオレンジ色に染まりつつあった。梅雨の中休み、だな。
「……あ、池崎じゃん」
後ろから誰かに声をかけられた。振り向くと、
「……おう、吉野か」
同じクラスで、仲の良い女子の一人だ。
バレー部も終わったのか。制服になってる。
