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俊光と菜子のホントの関係

第2章 『俺と菜子』



「やだ。何、空をボーッと見てんの?」

「いや……オレンジ色でキレーだなーと思ってさ」

「あははっ。そのロマンチスト、マジでウケるー」


 思いっきり笑われたし。


「別に、ロマンチストのつもりなんてねぇよっ。素直な感想を述べただけだよっ」


 ちょっと気恥ずかしくなりムキになって否定すると、吉野にまた笑われた。


「ところで……今までずっと学校にいたの? 池崎って帰宅部よね?」

「そう。図書室で受験勉強してた」


「ふーん……。ねぇ……よかったら、駅まで一緒に帰らない?」


 吉野が遠慮がちに訊いてきた。

 あーそうか。吉野も電車だったな。


「うん。いいよ」

「あ……じゃあ、行こっ。ふふ」


 吉野は楽しげに笑みを浮かべると、俺の隣に並んだ。


 吉野といえば……智樹がしょっちゅう言っていることがある。


(吉野って、結構男子に人気あるんだぜ。ボーイッシュだけど、ハツラツとしてて可愛いって。うちのクラスにも吉野を狙ってるヤツ、何人もいるしな)


 うん。確かにそうかも。『菜子』とは、また違うタイプだけどな……って、

 あーあ。また菜子が出てきた。

 他の女子のことを考えても、こうして菜子が現れる。

 そして失礼な話、他の女子と比べては――結局は菜子の方に軍配が上がってしまう。

 やっぱり俺……菜子以外ダメなのか?


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