
俊光と菜子のホントの関係
第14章 『俊光君への兄(本命)チョコ』
「こんなコがいるなんて、おれ達は聞いてねぇぞ!
ま、まさかお前……彼女とか言わねぇよな!?」
「ちっ、ちがっ……! 菜子ちゃんはっ……」
あわわっ。何か知らないけど、晃君が友達みんなに睨まれてるぅ。それに私は、晃君の彼女じゃないんだよぉー。
「あのぉー、私は彼女じゃなくて、晃君の双子のお姉ちゃんの友達で、池崎菜子です。はじめまして……」
遠慮がちに割って入りながら、誤解がとけるように自己紹介をしたら……
「っ、ひゃあっ!」
四人が晃君を思いっきし押し退けて、私の真ん前までドドドと寄ってきたぁー!
「は、はじめましてっ! おれ達、晃の心の友ですっ!」
「晃の彼女じゃないってことは、フリー!? やった!」
「どんな人がタイプなの? 俺達の中だったら誰がいい?」
「そのスクールバッグ、よく見たらあの共学の高校のだよね! あそこってセーラー服でしょ? 良かったらそのコートの中をちょっとだけ見せてくれない?」
「えっ、えっ、えっ……?」
ひゃわわわわっ、ちょっと待ってぇ! いっぺんに言われても何がなんだかわかんないよぉー! 私の耳は二つしかないんだよぉー!
「やめろっ! ギラギラした目で菜子ちゃんに近づくなっ! だいたい、いつ心の友になった!?」
晃君が、対応に困っている私を庇うように、前に立ってくれた。
「うるせー晃っ! 可愛い顔して性格悪いぞっ!
こんなコがいるなら、何でもっと早く紹介してくんねぇんだよっ!」
「わーっ、やめろってお前らっ……!」
晃君がさっきよりも揉みくちゃにされてるぅ。だ、大丈夫かなぁ?
それに晃君が明里とそっくりだから、まるで明里がいじられているみたいに見えちゃって、余計に心配しちゃうよぉ……。
