
俊光と菜子のホントの関係
第27章 特別編『菜子の誕生日お祝いデート(前編)』
「ふーん。君達って兄妹だったんだー。俺はてっきり、恋人同士かと思ったけど?」
「ふえっ!?」
店長さんからの『恋人同士かと思った』発言に、いち早く反応をした菜子。
「は……はいっ、そうなんですっ! よく、こぉっ、ここっこ、ここっ、恋人同士みたいだねって言われちゃう兄妹なんですっ!」
……お前なぁ。『恋人同士』のとこで興奮しすぎてニワトリ化してるぞ。耳まで真っ赤にしてさ。気持ちがバレバレだっつーの。
とはいえ……俺も俺で、菜子の後ろで、人様に見せられないぐらい顔が緩みきっていて、スゲー熱くなってる。
想いが通じ合ってから言われる『恋人同士』は、思っていた以上にくすぐったくて、ものスゲー照れ臭い。
俺達のホントの関係なんて当然知るよしもない店長さんは、怪しんだりする様子もなく、「ハハハッ! そうかそうか!」と、さも愉快そうに笑いだした。
「恋人同士にしても、兄妹にしても、お兄さんとお姉ちゃんって、ホントお似合いだと思うよ。初めて会ったばかりのオレでも、仲の睦まじさが雰囲気から滲み出てるのが、丸々わかるし」
と、更に言葉を続けては、またハハハと声をあげる店長さん。
俺と菜子が、お似合い……。マジか。
前に立つ菜子が、顔だけ俺に振り返る。目が合うと、もう目も当てられないぐらい顔が真っ赤っかに変色していく。俺も、顔の熱さがマグマレベルだ。
ちゃらんぽらんと娘に言われる店長さんらしい、お世辞のような、茶化してるような、そんなテキトー口調。なのに、それを本気で受け取り、いとも簡単に舞い上がってしまう俺達って……チョロいのか?
「というわけだ、一紗。お兄さんをお兄ちゃんにするのは諦めろ。
まぁどっちにしても、一紗の控えめなオッパイじゃあ、お兄さんの妹になるのは難しいだろうけどな。例え、姉妹全員のオッパイを寄せ集めたとしても……
このお姉ちゃんのEカップには、敵いやしねぇよ」
「ーーーーっ!」
店長さんの当てずっぽうを聞き、菜子は、俺を庇うために堂々と張っていた胸を隠し込むという、バカ正直すぎる反応を示す。
「ちょっ……妹のオッパイを見て、何を言ってるんですかっ!」
その代わり、今度は俺が菜子の前に立ち、胸を張って庇った。……のはいいが、俺までつられて『オッパイ』と言ってしまい、自滅。
