
俊光と菜子のホントの関係
第28章 特別編『菜子の誕生日お祝いデート(後編)』
「ねぇねぇ俊光君っ、あそこで二人でピンポンしよーっ」
「ピンポン? ……あー、卓球な」
私が指差した方向には、大きな卓球台が二台。うち一台は、すでに他の人達が使っていて、楽しそうにピンポンピンポンと打ち合っている。
「温泉に来ておいて、ど定番のピンポンをしないなんて、ナンセンスだもん!」
「お前、『ナンセンス』って言葉が好きな。これで十回目だぞ」
「いいから、するのぉーっ」
「……はいはい、わかったよ」
やれやれって感じだけど、俊光君は私の『ピンポンしよう案』を笑って受け入れてくれて、やることに。
良かったぁ。これで思いっきり動いて遊んでいれば、緊張も解けて、リラックスした気持ちでお部屋に戻れるよね。私ってば、あったまいいー!
道具を借りて、いざ!
「よーしっ、いっくよぉー……それぇーっ」
「うわっ。変な方向に打つなって」
「えへへー、ごめんなさーい」
「じゃあ、次は俺からな。それっ」
「うひゃあっ。ちょっと、俊光君だって変な方向じゃん!」
「そうかぁ?」
「絶対わざとでしょー」
「ははは、バレたか」
「もーう。あははっ」
思い付きで誘ったピンポンだけど……やってみると、何気に楽しいもんなんだね!
