
俊光と菜子のホントの関係
第28章 特別編『菜子の誕生日お祝いデート(後編)』
それから一時間後。
ピンポンピンポン打ち合っていた私と俊光君は今、
「あーんもう、疲れすぎちゃったよぉ。すぐに歩くのは無理ぃー」
「はぁっ、はぁっ……たくっ。温泉で身体を癒やしたばかりだったのに、またすぐ疲れるって。プラスマイナスゼロかよ」
ご覧のとおり、ロビーのソファーに座り込んで、グッタリ中だったりする。
最初は、私も俊光君も、アハハウフフと笑いながら嗜む程度で遊んでいたのに。それがいつの間にか、ハァハァフゥフゥと息を荒くしながら白熱しちゃってて。
旅館の人が申し訳なさそうに『恐れ入りますが、お時間でございます』って言ってくるまで、ピンポンの世界にどっぷりと入り込んでいたもんね。
ピンポンのおかげで、カッコ良すぎる俊光君にドキマギしていた緊張が紛れたのはいいんだけど。無駄に体を動かしまくっちゃったから、違う意味で、心の臓をバクバク使いすぎちゃったよぉー……。
「池崎様。お楽しみいただけてますか?」
「あっ」
若女将さんだ。また話しかけてくれた。私達のことを何かと気にかけてくれて、優しいなぁ。
