
俊光と菜子のホントの関係
第28章 特別編『菜子の誕生日お祝いデート(後編)』
実際にお外へ出てみたら、やっぱりロマンチックしかなかった。
のびのびと生えた松の木と、まん丸い形にカットされた植木が並ぶ庭園を、温かい色のライトが、優しく包み込むように照らしてる。
白い砂利道をじゃりじゃりと踏みしめながら、俊光君と手を繋いで見回る。
「うわぁー、スゴく幻想的だねー」
「夜にライトアップされると、厳粛なイメージの庭園も、親しみやすい雰囲気に変わるもんだな」
「うん」
庭園はもちろん素敵だけど。それを眺める浴衣姿の俊光君は、もっとス・テ・キ。きゃーっ! なんちゃってなんちゃってーっ!
サラサラのミディアムショート。お母さん譲りの整った顔立ち。俊光君のいい男っぷりは、何千回何万回見ても飽きない。
こんな人が、優しいお兄ちゃんでもあって、私を想ってくれている恋人でもあるなんて。これ以上ない奇跡だよぉー。
出来ればこれから先もずーっと、特別な気持ちで一緒に手を繋ぐ人は、俊光君だけがいいなぁ。
キスをするのも、オーマイガーをするのも、
ずーっとずーっと、俊光君だけがいい。
せっかくロマンチックな庭園でお散歩しているのに、こんなことばかり考えて、気持ちを重ねていたら、
手を繋ぐだけじゃ足りなくなってきちゃった。
俊光君……
「あ……っ……」
んん? 何、今の声。
俊光君の腕をつんつんと引っ張って、なんとなく声を潜めた。
「ねぇねぇ俊光君。どこからか、変な声が聴こえてこない?」
「はっ? 変な声って何だよ。ヤバいものか?」
「わかんないけど。たぶん……あっちの物陰から」
「ど……どれ?」
私が指差した方に、俊光君と一緒にそろそろと近づいていき、恐る恐る目を凝らしてみると――
「もーう、こんなとこでダメだってば。部屋に戻ろうよぉ」
「いいじゃん。外の方が興奮すんだろ? お前だってココ、すげー濡れてんじゃん」
「やっ、あぁん……」
「ーーーーっ!」
うわひゃーっ!
オバケとかじゃなくて、物陰に隠れてイチャイチャチュッチュしてるカップルだったぁー! これには、私も俊光君も絶句。
「ねぇ、ちょっと。誰か近くにいるんじゃない?」
「やばっ……菜子行くぞっ!」
「わっ!」
カップルに見つかっちゃう前に、慌てる俊光君に手を引かれ、ダッシュして離れた。
