
俊光と菜子のホントの関係
第28章 特別編『菜子の誕生日お祝いデート(後編)』
ある程度離れたところで立ち止まると、二人でまたハァハァフゥフゥする息を整えた。
びっ、ビックリしたぁー。私、オバケを見た時よりも驚いちゃったよ! ……とは思ったものの、オバケはまだ実際に見たことがないんだった。えへ。
でもでも、あのカップル、ホントにスゴかった! こんな素敵な旅館の庭園で、着物をはだけさせて、イチャイチャチュッチュするなんて! 見ちゃったこっちが恥ずかしくてたまらないよぉー!
「たくっ……あんなとこで、あんなことしてんなって話だぞ。ムードのへったくれもなくなっちまったし」
「そう、だね」
イチャコラカップルを見て恥ずかしそうにしながらも、あきれたように言う俊光君。
確かにそうなんだけど……
私は、羨ましい気もしちゃったりする。
「あの……俊光君?」
「ん?」
「わ、私も、俊光君と……イチャイチャチュッチュ、したい……」
「……えっ?」
「あっ……あのカップルみたいにお外でじゃなくて、ちゃんと部屋でしたいってことだよっ!?」
って付け加えちゃうと、余計にいやらしいってば!
ほらっ、俊光君だって困ったような顔してるじゃん!
「俊光君、ごめんなさーいっ。せっかく素敵な旅館に泊まらせてくれてるのに、いやらしいことをしたいなんて考えちゃったりしてっ」
「謝るなよ」
「だってぇ……」
「それなら、俺だって『ごめんなさーい』だぞ」
「ふえ、何で?」
「俺は……お前とオーマイガーのやり直しもしたくて、今回の日帰りを、一泊旅行にしたんだから」
「へぇっ、そ、そうだったのぉ!?」
「そこまで驚かれると、余計に恥ずかしいって」
庭園を照らす温かいライトが、俊光君の赤い顔も照らす。
ひゃーっひゃーっ、俊光君も、私とオーマイガーしたいって思っていてくれてたんだぁ。そういう想いまで私と一緒だったなんて、嬉しいよぉ。
だとしたら……
「0.01も、ちゃんと用意してたりするよね?」
「えっ? そ、そりゃあまぁ……もちろん、だけど……」
「そうだよねっ。もしね、忘れていたなら、私も持ってるから大丈夫だよって言おうと思ってたんだけど、俊光君が持ってるなら良かった!」
って、そんなこと、いちいち言わなくてもいいのに、照れやら恥ずかしさやらで、ついついペラペラと口が動いちゃう。
