
俊光と菜子のホントの関係
第28章 特別編『菜子の誕生日お祝いデート(後編)』
「俊光君、どうしたの?」
ちょっぴり心配になって問いかけると、俊光君のウヨウヨ泳いでいた視線が、私にかっちりとロックオンした。
俊光君に真っ直ぐ見つめられると、どうしても胸がドキッと鳴っちゃう。
「菜子」
「はひっ」
「この棒みたいな物は……ただの物じゃないんだ」
「ふへぇ!?」
何、その意味深な言い方!
ただの物じゃないってことは……それって、強力な武器だったりするの!? 知らない土地にお泊りに来てるから、悪者が襲撃してきてもボコーンと殴れるように、お布団にコッソリ忍ばせておいてたとか!?
って思ったことをまんま話したら、「んなわけねぇだろっ。アクション映画の見すぎかっ」とツッコまれちゃった。
「じゃあ、なんなの?」
「っ……」
すると俊光君、少し間を空けてからおずおずと私の耳元に口を寄せると、覚悟を決めたかのように口を開いた。
「これはな、」
「うん……」
「俺の、アレだよ……」
「アレ?」
「つまりっ……お前の言う、うっ……『瓜』だよっ」
「……へ?」
うそ。
とてつもなく硬い棒みたいな物が……
バレンタインの時、私のアソコに『ズドンッ』しようとした……
俊光君の、瓜なのぉー!?
私独自の言葉で分かりやすく教えてくれた俊光君は、耳まで真っ赤っかになっている。俊光君の瓜を、強力な武器だと勘違いしちゃった私も恥を感じて、顔がジワジワと熱くなっていく。
「あわわっ……。私、知らなかったよ。瓜がそんなにガッチガチに硬くなる物だったなんて。バレンタインの時だって、先っちょの感触しかわかんなかったし」
「ガッチガチとか言うなよ、恥ずかしい」
「だって、ガッチガチって言っちゃうぐらい硬かったんだもん。
ねぇ俊光君。ひょっとしてその瓜、ホントに武器みたいに人を殴ったり、トンカチみたいに釘とか打てちゃったり出来るんじゃ……」
「出来るかっ!」
そっか。さすがにそこまでじゃないんだね、えへ。
