
俊光と菜子のホントの関係
第4章 『私と俊光君』
「山田ガキだからさぁー、好きなコをついついイジメちゃうってやつかもよぉー?」
「ウソウソ! 仮にそうだとしても、私全然タイプじゃないからっ! やだ、あんなヤツー!」
ぐいっ!
「いったぁーい!」
山田っ、また戻ってきたしっ! しかも相当怒ってるみたいで、顔が真っ赤っか。
「おっ……オレだってなぁっ、お前みたいな牛女願い下げだよっ!」
「あーそうですか。あー良かったぁー」
「ーーーーっ、ふんっ!」
もう、さっきから何なのぉ? アイツぅー。
「あーあ……山田のせいで、お下げがボロボロになっちゃったぁ」
あとで結わき直そう……。と最後にポツリと口から漏らしたら、
「菜子、ワタシが結わき直してあげるよっ」
明里が声を弾ませて言ってきた。
「えっ? 明里が?」
「うん。何を隠そう、ワタシは美容師の娘なのよぉ?」
「……別に隠してないじゃん。家が思いっきり美容室だし」
そう。実は、明里の両親は美容師さんで、美容室まで営んでいるの。
「ワタシね、アレンジは結構得意なんだよ?」
「えーホントぉ? 明里って美容師目指してるワリには、何気に不器用なところあるからなぁー。美術も家庭科も、5段階評価の通知表でいつも1か2だしー」
「ふっふーん、だいじょーぶよっ! 菜子がどうしたら可愛くなるかを、一番よく知っているこのワタシに、まっかせなさーい」
明里は意気揚々として胸をドンッと叩いた。
そう言うけど、ホントに大丈夫かなぁー……。
今までの美術や家庭科での、明里の不格好な作品の数々を思い出すと……不安でしかないんですけど。
