
俊光と菜子のホントの関係
第4章 『私と俊光君』
家に帰るとすぐに階段を駆け上がり、真っ先に俊光君の部屋の前に立った。
「ただいまぁ! 俊光君、いるぅ?」
ドアをコンコンノックしながら呼び掛けると、ドアがガチャ……とゆっくり開いた。
「おかえり菜子。なんだよ、そんなにバタバタと帰ってきたりして」
すでに私服に着替えた俊光君が、何事かって感じで出てきた。
「あのね、今度の日曜日って……どんな予定?」
特別な日だから、もう予定入れちゃってるかもしれないけど……。
「今度の日曜? 別に、何も予定ないけど? ただ家でのんびりしようかと思ってたぐらい」
……え? 予定も何もない?
「ホントに? 誰かに誘われたりとかないの? 例えば、智樹さんとか」
「いや。智樹とも誰とも、約束なんかしてないけど」
「そう……なんだー……」
これはもしかして、俊光君……
『自分の誕生日』忘れてるっぽい。
ぷーっ! やだぁ、ホントに? いや、俊光君ならありえるかも。頭いいクセに天然だから。
でも、それって好都合!
予定ないなら、なお好都合!
