
俊光と菜子のホントの関係
第4章 『私と俊光君』
*
ふふっ。今日はいよいよ、俊光君の誕生日だー。
えーと、この前買ってもらった服は抜かりなく着たし、あとはタイツ履いて、キャスケット被って――
「おーい、菜子ー。まだかよー」
わっ! またドンドン煽ってくるっ。
「あーん。俊光君、もうちょっと待っててよぉー」
ドアに向かって、部屋の外にいる俊光君にまで聞こえるように、大きな声を出してお願いをした。
いい加減、早く準備を終わらせないと。俊光君が待ちくたびれてるみたいだし。
私はベッドに腰をかけると、タイツを丁寧に手繰(たぐ)り寄せてから、焦って穴を開けちゃわないように気をつけつつ脚を通した。
「たくっ……お前が原宿で買い物したいっていうから、仕方なく付き合ってやるってのによー。貴重な日曜日を無駄に使うな。服なんて何でもいいだろう?」
「よくないもん! お出かけするんだからオシャレさせてよー!」
「ただの兄と出かけるだけなのに、オシャレとか必要か?」
「ひ・つ・よ・うっ!」
に、決まってるじゃん! せっかくの俊光君の誕生日なんだからー!
とはいえ、本人は未だ気づかずだけど。
お父さんにもお母さんにも、そして俊光君の親友の智樹さんにまで黙っててもらったしで、計画は完・璧!
ぷぷぷっ! 俊光君、一体いつ気づくんだろー……
よしっ! お着替え完成でーす!
