
俊光と菜子のホントの関係
第4章 『私と俊光君』
「気持ちわりぃなー、牛女っ」
「むっ」
後ろからいつものムカつく声が。
振り返ると山田が立っていて、私をバカにするようにニヤついていた。
「気持ちわりぃって何よー。まだそうやってケンカ吹っ掛けてくるんだからぁ。
私言ったじゃん。もうあんたとはケンカしないって」
「気持ちわりぃもんは気持ちわりぃんだよっ。
何だよお前。兄ちゃんと出かけただけでウットリしやがって。
お前さ……そんなんで、ホントに兄ちゃんとしてしか見てないって言えんのかよー」
「…………え?」
それって……どういう意味?
「はっ。ホントはお前……
自分の兄ちゃんのことを、『好きな男』として見てんじゃねぇのー?」
「…………」
山田が発した『好きな男』というフレーズに、思わずフリーズしちゃった……。
な……何、言ってんの? 山田のヤツ。
私が俊光君をお兄ちゃんとしてじゃなくて、好きな男として見てるって?
