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たけるとみかる―双子みたいな幼なじみ―

第1章 杉並実果留


 その頃も、私と武の身長は一緒だった。

 それまでは、自分の身長を何とも思わなかったのに、私は徐々に嫌気を感じるようになっていた。

 武とは一緒でも、女子の中では一番背が高くて……。それで男子達が「杉並って、男みたいにでけーな!」と、半分イジメみたいな形でからかいだしたんだよね。

 それが原因で、私は自分の身長にコンプレックスを抱いた。背を伸ばしたくないから、給食の牛乳も残したりして。先生に「飲みなさい!」って怒られても、泣きながら拒否し続けてたなぁ……。


 けど……武だけは、他の男子とは違かった。


(俺は、実果留を男みたいとか思わないぞ。実果留は十分女の子じゃんか!
 それにさ、背が一緒だと実果留の顔が近いからよく見えて楽。
 だから、これからも安心して、俺とおんなじ身長でいろよ! な?)


 って、言ってくれたあと、

 頭をぽんっとしてくれた武に、

 胸の奥がきゅん……とした。



 それが、初めて武を違う意味で――

『好き』と思えた瞬間だった。


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