
たけるとみかる―双子みたいな幼なじみ―
第1章 杉並実果留
「……っ、あ、自分っ……東豊(とうほう)男子高校の三年
『ユウサキ シゲアキ』と言いますっ」
「……はぁ」
やっと言ったと思ったら、自己紹介。しかも自分のことを『自分』って言うんだ。
更に名前の漢字まで細かに説明してくれた。
なるほど。『夕崎茂明』君。三年てことはタメだ。
それから更に間をあけて、夕崎君とやらは口を開く。
「……自分……前から帰りの電車で、あなたのことを見かけていまして……
その……可愛らしい方だな……と……」
……ほ? 何ですと?
「つまりっ……あなたのことが…………
すっ…………好きなんですっ!」
……………………
「えっ……えぇーーーーっ!?」
な、何ぃー!? まさかの、告白ぅー!?
う、うそでしょー!? こんな大人しそうな人が、こんなところで!? 意外と大胆じゃない!?
なんか私までドキドキしてきちゃった!
……わ。この人、顔が真っ赤っかになっちゃってる。手も足もこんなに震えて……そんなに勇気を出してくれたんだ。
やば。少し感動しちゃった。素直に嬉しかったりもして。
嬉しいけど……その気持ちに答えるわけにはいかない。
だって私は――武が好きなんだから。
