
たけるとみかる―双子みたいな幼なじみ―
第1章 杉並実果留
「あのー……お気持ちはありがたいんですけど、私には――」
「わかってます」
「……え?」
『わかってます』?
夕崎君はつかさずそう言って、私のセリフを遮(さえぎ)った。
「あなたには『彼氏』がいるってことは、ちゃんと知っています」
「………………は? 彼氏?」
「はい」
いや。私には彼氏はいませんが。好きな人はいますけど……。
「え? 誰のこと?」と、訊いてみると――
「……え? 彼氏ですよね?
だいたいいつも一緒にいて、同じ制服を着ていて、背丈もあなたに近い、焦げ茶色のショートヘアの方……」
えーと……
だいたいいつも一緒にいて?
同じ制服を着ていて?
背丈も私に近い?
焦げ茶色のショートヘアの方?
それがぴったり当てはまる人物は――ただ一人。
それって……武じゃん!
えっ! この人、私と武を……カップルだと思ってたのー!?
