
たけるとみかる―双子みたいな幼なじみ―
第2章 佐倉武
「夕崎君にもヒドいことをしてるって……そんなのっ、つき合う前からずーっとわかってたっ! だけどっ……っ、ヒドいことをしてでも知りたかったっ……こうしたら、わかるんじゃないかって……思ってたっ……っ……」
「実果留、何言って……」
実果留のセリフが、だんだんと嗚咽(おえつ)混じりに。それによって、話の内容がますますわからなくなっていった。
「それに、私だって……本当は好きな人と……っ、つき合いたかった……なのに……何? 私の気持ちも知らないくせに……わかったようなことばっかり言わないでっ!」
実果留……。
ヒドいことをしてるという実果留は、まるで自分がヒドいことをされていると言わんばかりの、悲痛な表情だった。見てるこっちが辛くなるぐらいに……。
「……実果留、俺――」
「もういいっ! 武のバカッ!」
実果留は聞く耳を持たず、そのままドアへ駆け出す。
「おいっ! 待てっ! みかっ――」
呼び止めようとするも、先にドアがバンッと閉まり、バタバタと階段をかけ下りる音が響いた。
やがて、下の方で玄関のドアらしき音が、バタン……とした。
「…………は……何だよ……それ」
ボスッと仰向けに倒れ込んだ。
あー……本当に熱が上がったみたいだ。さっきより苦しいぞ……。
(私の気持ちも知らないくせに……わかったようなことばっかり言わないでっ!)
「んだよ……俺の気持ちだって知らないくせに、いきなり彼氏なんか作りやがって。
しかも、好きでもないのに……。
そんならとっとと別れて、俺を好きになれっつーの。
実果留の……バカやろう……」
はぁ……マジで苦しいー……。
お前は知らないだろうけど、
俺は初めて会った時から、
実果留のことが……
ずっと……ずっと……
