
たけるとみかる―双子みたいな幼なじみ―
第2章 佐倉武
「……ねぇ、武?」
「んだよ」
また飲もうと水を口に含んだら――
「あんたさー……一回、実果留を押し倒してみたら?」
「っ! がはぁっ! ゴホッ、ゴホッ……」
いってぇ! 鼻にきたっ!
実果留母は、また手を叩いてウケてるしっ。
ホントに、マジで信じらんねぇーしっ。娘を押し倒せだなんて、母親の言うセリフかよっ!
「ふ、ふざけんなっ! ただでさえ風邪で理性が弱まってるってのに、そんなこと言って俺を刺激させんじゃねぇよ! 余計に悶々とするだろうが!」
「あははっ、悪い悪いっ。だってさぁ、そうしたらあのコがアンタのことをどう思ってるのかがわかるでしょう?
嫌いだったらひっぱたいてでも拒絶するだろうし……
好きだったら、愛撫にそのまま身を委ねて酔いしれるだろうし。ぐふふーっ」
やめろやめろやめろっ! 小説っぽく言うなーっ!
「そんなことしなくても、口で言って聞くって!」
「はぁー? それが出来なかったから、あのメガネ男子に取られたんじゃーん」
「ぐっ……」
マジで悔しいけど……そのとおりだ。
