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たけるとみかる―双子みたいな幼なじみ―

第6章 佐倉武・最終話



 ここで『それ……夕崎か?』って、逃げるようにバカなことを聞いて、実果留に言わすなんてことは絶対したりしないぞ、俺はっ。


「……実果留」

「あっ……武っ! これはっ……」


 目に涙を溜めながら、うろたえる実果留に

「わかってるよ」と、一言だけ放った。


「え、わかってるって……」


「俺だろ?」


「……あっ……」


 俺のセリフに、実果留は止まった。


「それ……俺がつけたんだよな?」

「っ……た……ける……」


 実果留の反応を見て……確定した。


「はぁ……やっぱりな」

「っ、何で!? 武……覚えて、たの?」

「いや。夢だと思ってた。枕についていた実果留の髪の毛と……これを、見るまでは」

「あっ、それっ……」


 ハーフパンツのポケットから取り出したヘアゴムを、実果留に見せた。


「枕の下にあったんだ……はい」

「そうなんだ……。あ、りがと……」


 実果留は震える手で、俺からヘアゴムを受け取った。それを大事な物のように、胸の中心に当てて握りしめた。


「俺、実果留にさ……キスとか……したんだろ?」

「う……うん……」

「キスだけじゃなくて、身体に触れたり……
 それ、つけたりとか……」


 実果留の首に向けて指を差した。実果留は真っ赤に震えながらも、縦にコクン……とした。



 頭を抱えたくなった。


 確定する度に、罪の意識が重くなっていく。


 くそっ。俺ってヤツはっ……実果留になんてことをっ。


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