マックの女
第2章 ファーストフード店マクド鳴門にて
そう答えた誠一は女の唇を凝視した。女の濡れた下唇の艶やかさに、誠一は目を奪われて固まった。すぐに気を取り直し、片方の手で手首を掴んでいる女の手の上に、誠一の手を優しく重ねた。女が誠一を見つめた。誠一は女の指を一本ずつ丁寧に外していく。誠一はずっと捕まれていてもいいと思った。女の最後の指を外すと、誠一はトレーを持って、カウンターから離れ、窓際のテーブルまで歩いていき、静かに腰を下ろした。
「やれやれ、とんだ一日だよ、もう、きょうは特に病気がひどいな」
一人言をつぶやきながら、二人掛けテーブル席に腰掛けた。
女がカウンターから飛び出し、誠一の座るテーブル席まで駆け寄ってきた。呼吸を乱した女が、誠一のテーブルの向かいに座った。女の膝が誠一の膝と当たった。
「ねえ…… おにいさん、正直に話してほしい。あたしの体を見て、興奮したでしょ? わたしはあなたの苦しみが分かるのよ。さっきも言ったように、あたしはテレパシスト、あなたもそうなの…… だからこんなに反応してしまうの…… 」
「エエエエ、この僕の妄想が超能力? そんな馬鹿な…… そんなこと、ないよ。こんなの超能力でも何でもない、病気さ…… 」
そう言うと、誠一は平静を装って黙って女の出方を待った。
「やれやれ、とんだ一日だよ、もう、きょうは特に病気がひどいな」
一人言をつぶやきながら、二人掛けテーブル席に腰掛けた。
女がカウンターから飛び出し、誠一の座るテーブル席まで駆け寄ってきた。呼吸を乱した女が、誠一のテーブルの向かいに座った。女の膝が誠一の膝と当たった。
「ねえ…… おにいさん、正直に話してほしい。あたしの体を見て、興奮したでしょ? わたしはあなたの苦しみが分かるのよ。さっきも言ったように、あたしはテレパシスト、あなたもそうなの…… だからこんなに反応してしまうの…… 」
「エエエエ、この僕の妄想が超能力? そんな馬鹿な…… そんなこと、ないよ。こんなの超能力でも何でもない、病気さ…… 」
そう言うと、誠一は平静を装って黙って女の出方を待った。