官能マシン
第1章 官能マシン
「ーーお客さま、どうでしょうか? まだ発売されたばかりの新商品なのですが…。実はまだ試験段階な商品で…、モニターをして頂ければそのまま無料でご提供できますが…」
信一は愛想笑いする店員を知らず知らずのうちににらみ付けていた。
顔を引きつらせて無理やり愛想笑いを作る店員が、ビクビクと信一の顔を見ていた。今まで何やら説明していたらしいが、信一は上の空だった。今更、聞いていなかったとも言えず、
「……う、うん、ただなら使ってみてもいいぞ」
「そうですか。すぐ使えるようにセットしておきました。一週間後、モニターのご報告を伺えたらありがたいんですが……いや、いつでもいいんです。気が向いたらで。とにかく、よろしくお願いいたします」
随分、内気な店員がいたものだ。信一は新商品を手にして店を出た。
しかし、歩きながら携帯電話の使い道が全くないことに気が付いた。これを使って電話する仲間が思い当たらなかったのだ。掛ける相手も受ける相手もいないことを知り、かえって空しくなっただけ、つまらないものをもらってしまった気がした。そして、「もともと携帯電話なんて遊び人のおもちゃだ!」と、はき捨てるように叫んだ。
信一は愛想笑いする店員を知らず知らずのうちににらみ付けていた。
顔を引きつらせて無理やり愛想笑いを作る店員が、ビクビクと信一の顔を見ていた。今まで何やら説明していたらしいが、信一は上の空だった。今更、聞いていなかったとも言えず、
「……う、うん、ただなら使ってみてもいいぞ」
「そうですか。すぐ使えるようにセットしておきました。一週間後、モニターのご報告を伺えたらありがたいんですが……いや、いつでもいいんです。気が向いたらで。とにかく、よろしくお願いいたします」
随分、内気な店員がいたものだ。信一は新商品を手にして店を出た。
しかし、歩きながら携帯電話の使い道が全くないことに気が付いた。これを使って電話する仲間が思い当たらなかったのだ。掛ける相手も受ける相手もいないことを知り、かえって空しくなっただけ、つまらないものをもらってしまった気がした。そして、「もともと携帯電話なんて遊び人のおもちゃだ!」と、はき捨てるように叫んだ。