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官能マシン

第1章 官能マシン

「純子。どうしたんだ。若返ってるぞ」
 信一が真剣な顔で言うものだから、純子はクスクスと笑っていた。
「私、魅力的かしら? 見違えた?」
「ああ、きれいだよ、一体、どうしたんだ?」
「ふふ、これから楽しいことをしましょう」
 信一は純子に誘われてすぐ近所のラブホテルへ入った。何もかも初めてのことだった。純子に似た女は話し方から、どう見ても30年前の純子そのもののような気がする。でも、あの頃の純子は、うぶで、恥ずかしがり屋で、とてもラブホテルへ行こうなどと、自分から決して言う女ではなかった。
 何故か純子と名乗る女とは自然に激しく愛し合えた。信一は久しぶりに激しく燃え、純子もそれに答え激しく喘いだ。
「どう、信は気持ちよかった?」
「ああ、一体どうしたんだい? こんなに情熱的な純子は初めてだったからびっくりしたよ」
「ふふふ、よかったわ。また会いましょうね」
 純子はさっさと服を着ると、投げキッスをして部屋を出ていってしまった。
「やっぱり人違いなのかな? でも純子だった」
 信一は一人ベッドの中で考えていた。
 そのときから信一の携帯電話は故障して使えなくなった。自宅へ戻ると、妻の純子は寝室のベッドの上で気持ち良さそうに眠っていた。
「やっぱり違うのかな?」
 信一はつぶやいた。
 翌日、信一は会社を終えると、電気店へまっしぐらに向かった。例の店員を見つけ歩み寄った。信一に気が付いた店員はニコニコ顔で話し掛けてきた。

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