
幸せな報復
第25章 御手洗貞子
宗男は海星と関わるようになってから、少しずつ粗暴な振る舞いを見せるようになっていった。
以前は、周囲から「お調子者」と親しまれていた男である。それだけに、海星が宗男を側近のように重用するようになると、周囲の人間も次第に警戒するようになった。
「きのう、あいつに殴られたんだ」
店に来た客の一人が、そんな苦情を口にしたことがあった。
その男は、カウンターの奥で酒を作っている宗男をちらりと見て、顔をこわばらせる。
「くそぉ……あいつめ。会長に言いつけてやるからな!」
貞子は客の様子を見ながら尋ねた。
「ねえ、お客さん。あのカウンターでカクテルを作っている若い男のこと?」
「ああ、とんでもねえ奴さ。まだ体中が痛むんだ。俺の仲間なんか、あばら骨を折られて入院してるんだぞ」
男は悔しそうに顔を歪めた。
「今日は、あいつがここで働いているかどうか、それを確かめに来ただけだ」
貞子は、震えるその客を見ていた。
もし本当なら、警察沙汰になるのも時間の問題かもしれない。
貞子はそう思った。
ところが――。
宗男は、その後も何事もなかったかのように毎日カウンターに立ち、黙々とカクテルを作っていた。
一週間が過ぎ、二週間が過ぎ……。
やがて二か月ほど経った。
以前は、周囲から「お調子者」と親しまれていた男である。それだけに、海星が宗男を側近のように重用するようになると、周囲の人間も次第に警戒するようになった。
「きのう、あいつに殴られたんだ」
店に来た客の一人が、そんな苦情を口にしたことがあった。
その男は、カウンターの奥で酒を作っている宗男をちらりと見て、顔をこわばらせる。
「くそぉ……あいつめ。会長に言いつけてやるからな!」
貞子は客の様子を見ながら尋ねた。
「ねえ、お客さん。あのカウンターでカクテルを作っている若い男のこと?」
「ああ、とんでもねえ奴さ。まだ体中が痛むんだ。俺の仲間なんか、あばら骨を折られて入院してるんだぞ」
男は悔しそうに顔を歪めた。
「今日は、あいつがここで働いているかどうか、それを確かめに来ただけだ」
貞子は、震えるその客を見ていた。
もし本当なら、警察沙汰になるのも時間の問題かもしれない。
貞子はそう思った。
ところが――。
宗男は、その後も何事もなかったかのように毎日カウンターに立ち、黙々とカクテルを作っていた。
一週間が過ぎ、二週間が過ぎ……。
やがて二か月ほど経った。

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