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幸せな報復

第25章 御手洗貞子

 こんな異常な状況の中で、宗男が考えた最善の方法なのだと思った。

「そうね……。それしかないわね」

 あのとき、貞子はそれ以上を考える余裕がなかった。

 突然、海星の悪行を知らされ、沢子母娘を連れて逃げることで精いっぱいだった。

「逃げたあと、どうするかなんて……何も考えていなかったもの」

 貞子は小さく呟いた。

「ただ、この母娘を助けなきゃ……。それだけしか頭になかった」

 だから、宗男がその後も海星のそばに残り続けたことについて、深く考えようとはしなかった。

 今になって思えば――。

 あのとき、もっと宗男に尋ねておけばよかったのだ。

 なぜ、七年間も何もしなかったのか。

 なぜ、海星のそばに居続けたのか。

 そして――。

 本当に、あれはすべて演技だったのか。

 貞子は、今になってその疑問を問いたださなかったことを後悔していた。


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