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幸せな報復

第25章 御手洗貞子

 貞子は戸惑いながら礼を言い、カウンター前のハイチェアーに腰を下ろした。

 グラスを手に取る。

 琥珀色の液体が、照明を受けて静かに揺れている。
 口元へ運ぶと、マンゴーの甘い香りがふわりと広がった。

「……おいしい」

 舌に触れたカクテルは、爽やかな甘さが口いっぱいに広がった。

「わあ、美味しい」

 思わず笑みがこぼれた。

 貞子は宗男を見た。

 ――やっぱり、頭の切れる男なのかもしれない。

 こんな不穏な状況でも、相手の気持ちを考えて行動できる。

 だからこそ、海星が宗男を重用するようになったのも分かる気がした。

 海星は、接待の場で女性に対する細かな気遣いができる男ではない。
 だから、そういう部分を宗男に任せているのだろう。

 実際、逢瀬のホステスたちの中には、休日に宗男を買い物に付き合わせる者もいる。

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